+*風丸の夢跡*+

私の呟きや最新の作品などを貼り付けてます←

呪いのかかった子の話その3

~これは、呪いがかかったある棒人間のお話~

(前回のを読んでね。)

それからというものその人は俺に、色々教えてくれた。

だから、俺も代わりに教えてやった。

「俺は、俺の名前はバリオンだ。」

?「わぁぁぁ!やっと教えてくれたぁ!」

「…?」

?「私はね、マリア。マリアっていうのよ。」

「マリア…。」

「そう、マリア。ねぇ、私が約束を守るっていうこと、分かった?」

まだ少し疑問点はあるものの、一般人の数倍は純粋だろうな。

「さぁね。」

「私はバリオンさんのこと、何も知らない。私にも色々話してみてよ!」

この純粋な言葉に自分は戸惑った。

彼女が自分と言うこの歪んだ存在を認めてくれない気がして。

「…。嫌だ。」

「?どうして?」

「きっとマリアに嫌われる…。」

「何にも話していないのに、嫌いになんてならないわ。」

「でも、本当に、怖いんだよ。」

「…、怖がってばかりじゃ何にも始まらないわ?」

「…。逃げない…?拒絶しない?」

「もちろん!なにごとにも誠実ですから。」

「…。俺は…。」

それから、俺はマリアに全てを話した。

自分が死ねないこと、いつも一人だったこと、誰も信じることができないこと、愛情に触れたことのないこと、

何世紀も生きてきたこと、寂しかったこと、悲しかったこと、嬉しかったこと…。

「…。だから、首輪にはここに存在してる罪の証で、鎖は実在している証拠の重みとして…付けられたんだ。」

「そうなのね…。」

「…。もう、嫌いになった…?」

「まさか!どうして、そうなるの??」

「だって、こんな体で、老いることも出来なくて、永遠に死ねないんだぞ。」

「んー、じゃぁ、私がずっとバリオンさんのそばにいますよ。」

「…はぁ?」

「そうしたら、もう、寂しくないでしょう?」

 こいつ、本気で言っているのだろうか。

マリアが年を取っても、自分は一緒に年を重ねていくことも出来ないと言うのに。

「…っ!そんな、無駄なことしないで、自由に生きればいいじゃないか!」

と、つい、言ってしまった。

「私は、あなたが人を信じてくれるなら、それでいい。それ以上必要なことはないし、それ以外にあなたを否定しない。だから、無駄じゃなくて、これは、とても有意義なじかんなの。」

!…。こんなに、純粋で、誠実で、優しい人間はいるものなのか。

「もう、好きにすればいいよ。」

何にもいえなくなった。

自分の持っている言葉がこれ以上でてこなかった。

なんと表現したらいいだろう。

言葉に出来なくて、表現できなくて、気持ちの悪い感覚に襲われて、吐き出しそうで。

「どうしたの?」

「…。」

何もいえないんだよ。

「…。話したくないのなら、別にいいわ(^^)」

----

それから、数日がたち…。

「ねぇねぇ、バリオンさんは、何が好きなの?」

好き…?

「好きな食べ物とか、場所とか、何かあるでしょう?」

考えたことなかった…。

「しいて言うなら、この丘から見える太陽。」

「そう!いいじゃない!私はね、家が好きよ。」

家…?あぁ、『我が家』って奴ですか。

「ふぅん。いいね、そういうの」

「そう?でも、母と父はなかなか、家に帰ってこないけれどね。」

家族…か。

「おれのはとっくの昔に死んだぞ。」

「あら…。ごめんなさい…。」

…?

「なんで謝る?」

「嫌な思い出を探ってしまったから…。」

「そんなもの、気にしなくていいのに。」

「だめよ。心があるもの。気に留めないと。苦しくないの?」

???どうして、苦しい?

「感情がよく分からないから…、それに、もう何千年も前の話だし。」

「あなたには分かってもらわなくちゃならないことが、たくさんありそうね…。」

感情があると、余計な思いに駆られなくてすむと思うのだが。

…続く。

呪いのかかった子の話その2

~これは、呪いがかかったある棒人間のお話~

(前回のを読んでね。)

怖い、怖い。

何世紀も影で生きてきたから、光が差し込むのは激痛に値する。

いつもは、こんなところに人が来る音なんてしないのに。俺だけの、孤高の城に。

 ?「あのーぅ…、昨日は脅かしてすみません…。あのー…、誰かいますか??」

!!この声は昨日のアイツか…。

…、逃げよう。

ダダダダダッ!(駆け出した音)

?「!!かくれんぼですね…!私も負けませんよっ!」(勝手に勘違い)

ここなら、分かるまい。誰にも見つかったことの無い場所。(薄暗くて真っ暗な洞窟のような部屋)

本当に出て行ってくれ。これ以上近づかないで…。

タッタッタッ…。

まさか、ここにまで来るつもりか…?

?「どーこーでーすーかーーぁ??」

…。息を潜めて。見つかりたくない。…、と言うか、見つけるな。

?「んん??此処ですか?」シャッ!(布をめくる)

「!!!!!」

?「あぁ、やっぱり!見つけましたよ!かくれんぼは私の勝ちですね!」

…。は?コイツ、何言ってるの?

「何…、1人で勘違いしてやが…るんだ?」

?「かくれんぼじゃなかったの?」

「え。何だよ。て言うか出て行けよ。」

?「あ…、謝りにきただけなんですぅ…(泣)」

「!?な…泣くなよ。」

?「あ…、ごめんなさい…。」

!そっと顔を上げたその人は、不思議な顔立ちをしていた。

紅色の瞳に、銀色の髪の毛の間から少し赤い毛が混じっていて、黒い毛も混じっている。

優しい眼差しで、俺の顔を覗き込んでいる。

?「どうして、首輪をしているの?わんちゃんみたい!」

前言撤回。この人何言ってるの?

「知らない奴に教える義理は無い。。」

?「そっか。…、じゃぁ、毎日昨日の丘で待ってる。それだったら、少しずつ知り合いになれるでしょう?」

全く持って、馬鹿ばかしい。そんな聡明に約束を守る奴、見たこと無い。

「好きにしろ。絶対に行かないから。」

?「うん。分かった。」

そういって、その人はまた消えていった。

次の日も、その次の日も、ずっとその人は丘にきた。俺の部屋から見えるあの丘に。

雨が降っても、風が吹いても。

「あきれた。」

そう呟いて、俺は足を動かした。

?「…。今日もだめかぁ。」

「…おい。」

?「…!!あぁ!やっと来た!」

「なんで?」

?「…、??何が?」

「何で、そんなに辛抱強いの?」

?「うーーん。わかんない。」

「おかしいよ。今までそんな奴、みたことないぞ!」

?「…。じゃぁ、私が、あなたの人間像を変えてあげる。」

そういって、その人は暖かい手で俺の冷たい手を握った。

…、続く。

呪いのかかった子の話

~これは、呪いがかかったある棒人間のお話~

あぁ、

静かな野原で自分の戯言だけがぽつり。

「…もっと、楽に成れたらなぁ。」

生まれたときから死なない体で、何世紀も生きてきて。

「誰にも、見てもらえなくて。」

これから先世界が終わって、無の世界になっても『存在』し続ける。

「…。こんな体じゃなきゃ…。」

俺はバリオン。呪いのかかったイキモノだ。

何億光年いきたって、見える視野は小さくて。

この、呪いが現実だという証に首には首輪をはめた。鎖は、自分がここにいると言う罪をあらわしているんだ。

?「ねぇねぇ、あなたはここで何をしているの??」

それは、初めて声をかけてくれた君の声。

「…!」

話し方が分からなくて、忘れていて。

?「あ、待って…」

逃げ出したんだ。

怖くて、関わりたくなくて、でも、嬉しくて、矛盾していて。

…。続く